Hannah Quinlivan(濠)個展、バレエのコラボ at closeing party

2020年参加アーティスト

先日レポートしたHannah Quinlivan個展「Penumbra」、彼女の作品は初日から日々変化し、そのクロージング パーティにて完成される作品でした。

フィナーレではクラシックバレエとのコラボレーションがあるとその日、その場で決まったということもあり、こりゃ~見にいかねば、ということで追加レポートいたします。(オープニングのレポートはこちらを参照ください
糸島は二丈にあるアートカンパニーStudio kuraにて開催されたオープニングでは個展会場である蔵の中に、光と影を作っていたリボンの波が、今度は真っ白い森のような異空間に変身していました。

観客は思い思いの場所に身を潜め、これから始まるダンスを鑑賞します。

 

Penumbra05 Penumbra04

 

華麗に舞うのは深江に住む、牟田さん姉妹。 特に具体的な打ち合わせはなく、こんな動きがしたいとHannahさんに大まかな動きを伝えただけだそうです。

しかも今回のような作品とダンスの融合はHannahさん、初の試みなんだとか。 姉妹ならではの息のあったダンス。お二人とも小さいころからずっとクラシックバレエを習っているそう。どうりでつま先から指先まで、しなやかな動きです。

観客のお1人が、バレリーナがくるくると回るオルゴールを思い出したと言われていました。

確かに、アーティステックに自分達のダンスを見せるというよりもその場に融合することで完成されるような無機質さを感じます。 それは、この展覧会のテーマである光と影をという普遍性を表現しているようにも見えます。

 

Penumbra07

 

真っ白いテープで埋めつくされた床。良く見るとテープは不規則なうねりを描いています。

これは心の動き、揺れを表現しているそうです。
身体の動きを感情が追っていく、そんなことを説明してくれたHannahさん。(私の英語読解力が怪しいので間違っていたらすみません・・)

展覧会オープニングではテープが網のように、シャワーのようにクラの中を覆い尽くし、会場を漂う観客も作品の一部でした。

そして今回のクロージングでは一週間ほどの時の経過でテープのうねりは床を這うように伸びて、いくぶん、くすみを湛えています。

新たに床が白くなった分、影の濃さは薄まり、代わりにテープで張り巡らされた足跡が不規則に絡まり合い、何かを主張しています。

半影、陰影という意味を持つ今回の個展名「Penumbra」。

光と影の関係性を表現し、最後はその影ごと光に採りこんだような、誰かの心に迷い込んだような作品へと移ろい、ダンスとのコラボレーションで更に幻想的な世界になりました。

 

Penumbra09

 

牟田さん姉妹とHannahさん。

レジデンスアーティストと地元のご家族、それも展覧会を見に来たお客さんとのコラボレーションという即興的な今回のイベントでは、地域にアートが「ある」ということが人と人、人と作品が繋がる可能性を感じることもできました。

 

Penumbra11

Penumbra10

 

その後、イベントも一息ついて展覧会場の外ではテーブルを囲み、皆思い思いにくつろぎ談笑し始めます。

すると今度は展覧会場で子どもがはしゃぎ、ノラ猫が人知れず、そっと足を踏み入れる、そんな光景もありました。

その様子は、この展覧会場が単なるアートではなく、愛される作品へと変化した証しのように見え、とても幸福なシーンに遭遇した気分になりました。

オープニングにも足を運んでくれた方達を覚えていて、クロージングにも来てくれてありがとう、と声をかけるHannahさん。

女性的で柔らかな表現方法ですが、誰の内面にも存在する陰影の部分も美しく魅せる作品には、そんな彼女の人柄も感じました。

作品と同じくらい魅力的な彼女のこれからの更なる活躍が楽しみです。

 

Hannah QuinlivanさんHP → http://hannahquinlivan.com.au/

 

 

 

タイトルとURLをコピーしました