ようこそ加藤種男さん/前篇

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さる9/14(土)「地域とアートのディスカッション」と題してトークイベントを開催しました。

糸島芸農「地域とアートのディスカッション」
『地域を変えるソフトパワー』刊行記念全国縦断トークツアー

ゲストトークは全国各地の地域コミュニティーを体験してきた、元アサヒグループ芸術文化財団顧問、加藤種男さん。

*加藤種男(かとうたねお)

元アサヒグループ芸術文化財団顧問、企業メセナ協議会専務理事

1990年以来、アサヒ・アートフェスティバル(AAF)の立ち上げをはじめ、近年のアサヒビールの文化活動のすべてにかかわってきた。
また、わが国の企業メセナ(芸術文化を通した社会創造)活動をリードし、現在企業メセナ協議会専務理事。
NPO活動の推進にも取り組み、アートNPOフォーラムの創設に参加。
文化芸術創造都市横浜などの「創造都市」の旗振り役として、横浜市芸術文化振興財団専務理事などを歴任し、現在は沖縄県、八戸市、洲本市、東京都などのアドバイザーも務める。2008年度芸術選奨文部科学大臣賞受賞。

そのトークイベントの前に糸芸の舞台となった土地を加藤さんに知ってもらおうと、糸島をご案内しました。

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まずは前原商店街の「古材の森」にてランチです。
この日は古材の森、牧田社長(左)が店内を案内してくださいました。加藤さんも(右)画角に収まりきれない程の立派な建築物に写メを撮りまくりでした^^

唐津街道旧前原宿の中にある江戸時代の豪商西原家の町屋をリノベーションしてできた店内は、流行の古民家カフェのようにモダンになりすぎず、商店街にあるお店として親しみのある空間へと再生されています。
この日も赤ちゃんからお年寄りまで、家族連れで賑わっていました。

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元々は「古材の森」というブランドで、解体現場より焼却処分される梁や柱、板や建具などを手入れして販売していたそうです。そのうちに壊さずに活かす方向へと事業は進み、このように飲食店を自社で運営する運びとなったそうです。

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地元の食材を使った素敵なランチ!(写真が下手ですんません・・・。実物はもっと色鮮やかです)

そしてStudio Kuraへ移動します。
前原から箱島神社の見える202号線を走り、二丈に向かいます。車中、海が見えると加藤さんが能古の島を気に入り、何度となくおとずれたお話や、20年ほど前の福岡のアートシーンなど様々なエピソードが語られました。

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糸島から世界に文化発信を合言葉に美術作品の制作、美術企画、美術教育事業を行っているアートカンパニーStudio Kuraでは、Kura代表であり糸島芸農実行委員長である松崎宏史さんがお出迎え。

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アーティストでもある松崎さん(左)はドイツを拠点に各国各都市のアーティスト・イン・レジデンスに応募しては、毎月のように様々な場所で制作し、アートの経験を積んでいました。そしてアート修行を経て帰国し、伝統ある実家の米蔵を二丈の田んぼから眺めた時に、自身が海外で経験してきたアーティスト・イン・レジデンスがこの糸島二丈でも出来るんじゃないか、との思いから米蔵を自ら改装。
今ではアートをキーワードにして子ども造形教室からプログラミング教室、絵画教室、国内外のアーティスト達に創作活動の発表の場として開放しています。

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母屋を一目見た加藤さんは、松崎家はこうも繁栄していたのか、と感心しきり。(で、今はどうなのか?と突っ込みも入ります。)
裏に回ると立派な竹やぶもあります。

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上がりかまちが高い三和土は昔の農家の作りそのものです。松崎さんのお父様とお家の作りについてお話中。

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稲が実るこの季節、目の前の田んぼではまだ青さの残る稲が、少し傾いた陽の光りを受け緑香る風景を醸し出しています。

そして、今回のトークイベント会場がある深江地区のミツル醤油へもお邪魔しました。
敷地に入るとさっそく醤油麹の香ばしい香りが漂っています。

 

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いつの間にか大人数になっているところは気にしないでください^^
さてミツル醤油スタッフの方に案内されて発酵場を見学します。
昔ながらの木樽が並ぶ作業場は糸島芸術祭2012年の展示会場のひとつでもありました。

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2012年芸術祭展示の様子。
芸農グッズや醤油作りワークショップ、味噌仕込みワークショップなどなど、ミツル醤油には大変お世話になりました。

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昔ながらの木樽で醸造中。
家族経営の小さなお醤油屋さんですが地元では一家に一本、ミツル醤油というくらい、とても愛されています。ちなみに海外アーティストが滞在するレジデンスハウスのお醤油もミツル醤油です。

四代目の城 慶典さんは伝統的製法による醤油造りを40年振りに復活させました。そして今年待ちに待った初搾りの生醤油が完成しました。九州には珍しく、辛口でほんのり木樽の香りがするお醤油は全国でじわじわと人気になっています。
地元・糸島を全国に発信したい、という夢を着々と実現させている城さん。残念ながら、この日はお仕事の関係でお会い出来ず。

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お醤油の空き瓶。壮観です。
そして、近所の深江神社へと足を伸ばします。

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この神社は、豊臣秀吉が朝鮮出兵の途中、この場所で秀頼誕生を聞き、この地の領主であった小早川隆景に命じて鳥居を寄進させた神社で、裏手の丘では茶会も開かれたそうです。
ミツル醤油のはす向かいには昔、酒蔵もありました。それくらいこのあたりに流れる水はきれいなのだそうです。

そして、少し遠回りをして海方面へ抜けて深江公民館へ向かいます。
この日は、久々のお天気に加え、夏の陽気が戻ってきたような暑さ。川べりでは釣り糸を垂れてのんびりと談笑する人たちの姿が見えました。
海にも山にも田園にも恵まれた糸島の風景は日本全国各地を飛び回る加藤さんの目にどう映ったのでしょうか。

今回見学させていただいた場所は、開放されていますので気になったかたは気楽に訪ねてみてください。
※不在の時も多々あると思いますので、その際はご了承ください。

<深江公民館でのトークイベント後編に続きます。>

 

 

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